コラム
特別感を演出する!寿司屋の和を基調とした内装デザインのポイント
◎寿司屋において内装デザインがもたらす影響

数ある飲食店のなかでも、寿司屋は日本の伝統的な食文化を提供している飲食店として、日本人だけでなく海外の人からの人気も高い業界です。歴史ある老舗の寿司屋からチェーン店まで、全国には22,000店以上もの寿司屋があるといわれています。そのような競争の激しい業界のなかで寿司屋を繁盛させていくためには、他店との明確な差別化を図ることが欠かせません。そのためには、提供される寿司の味やネタの鮮度がなによりも大切ですが、それと同様に大きな影響を与えるのが、寿司屋の内装デザインです。
顧客にとって寿司屋での食事は、ただ空腹を満たすためではなく、食事する空間そのものも含めた体験としての価値が求められています。そのため寿司屋の内装デザインの良し悪しは、顧客満足度にも直結します。顧客満足度が高ければ、この寿司屋にまた来たいという意欲がわくため、リピート客の獲得につながります。新規顧客が定着しリピート顧客を増やすことは、寿司屋の長期的な運営をするうえで、必須ともいえる条件です。
また寿司屋といっても、さまざまなスタイルが存在します。カウンターのみの高級店、家族連れでも来店しやすい個室や小上がりがある寿司屋、カジュアルな雰囲気の回転寿司や立ち食い寿司屋などもあります。そのため、開業する寿司屋の価格帯やターゲット層にあわせた内装デザインにすることが大切です。寿司屋のコンセプトと内装デザインに統一感があると、顧客はその空間で心地よく食事を楽しむことができ、満足度が高まります。
たとえば、高級寿司屋であれば、洗練されたデザインや非日常的な空間演出によって、特別な時間を提供できます。またファミリー層向けの寿司屋なら、高級感よりもアットホームでリラックスできる内装を意識すると、子ども連れでも気兼ねなく滞在できる空間を整えられます。立ち食い寿司屋であれば、シンプルな内装や立ったままで食べやすいカウンターなど、機能性を重視するとよいでしょう。このように、内装デザインによって他店との差別化を図ることは、顧客満足度を高めて長期的な寿司屋の運営につなげる重要な要素となります。
◎寿司屋の内装デザインの基本

寿司屋の内装デザインは、ほかの一般的な飲食店と異なる独自の要素が多くあります。寿司屋の1番の特徴といえるのが、客席から厨房が見えるスタイルです。調理そのものがライブパフォーマンスとなり、職人が目の前で食材を切ったり寿司を握ったりする様子を見ながら食事を楽しめるため、視覚的な演出が重要となります。このスタイルにおいて欠かせないカウンター席は、寿司屋の空間全体の印象に大きく影響します。職人と顧客の間に適度な一体感をつくるために、カウンターの奥行きは1m程度、ひとりあたりの横幅は60cm程度を確保することが理想とされています。またレイアウトにあわせて、顧客が心地よく食事を楽しめる椅子の高さの設定やスムーズに動きやすい通路幅の確保も必要です。寿司屋の規模やターゲット層に応じて、カウンターだけでなく小上がりや個室をつくる場合も、全体の調和を考慮した内装デザインが求められます。
ほかにも、寿司屋ならではの必要な設備として欠かせないのが、ネタを陳列するショーケースです。ショーケースは主に、ファンで空気を循環させて冷却する冷蔵方式と、庫内の壁を冷やして間接的に冷却する恒温高湿式が使用されています。ネタの鮮度を保つための機能性も大切ですが、顧客が新鮮な刺身を目で見て楽しみ、注文をうながすためのデザイン性も重要になります。ショーケースのデザインによって空間の雰囲気が変わるため、温かみを感じさせる木材や現代的な印象を与えるステンレスなど、コンセプトにあわせたデザインを選びましょう。顧客からネタが見やすく、注文しやすい位置に配置することも大切です。さらに、視覚的なインパクトを与えて鮮度の高さをアピールできる設備として、生け簀を設置する寿司屋もあります。仕入れた食材を入れておいてその場でさばくことができるため、新鮮さを伝えて顧客の目を引きつけ、特別感を演出できる設備です。寿司屋の内装デザインでは、このような設備の配置において、機能性とデザイン性を両立させる必要があります。
◎寿司屋で特別感を演出する内装デザインのポイント

寿司屋は、カジュアルな店舗であっても、一般的な飲食店よりも客単価が高めに設定される傾向にあります。そのため寿司屋の内装においては、高級感のある素材を選んだり和テイストの装飾で格式高い雰囲気にするなど、価格に見合った特別感の演出が大切です。
〇素材
寿司屋の内装デザインで、特別感を演出するために重要な要素のひとつが、見た目や手触りで高級感ある素材の選定です。とくに寿司屋の印象を決定づけるカウンターには、ケヤキやナラ、スギなどの無垢材を使用すると、見た目の重厚感だけでなく、木材特有の香りや手触りによる贅沢な体験を提供できます。またエントランスや床、壁の一部などに、質の高いタイルや石材を取り入れると、硬質な素材の組み合わせによって空間が引きしまり、内装デザインに格式高い印象が生まれます。漆喰や麻などの自然素材も、伝統的な和のテイストによく合います。照明があたった漆喰の塗り壁は、視覚的にもやわらかく落ち着いた雰囲気があり、緊張感をほどよくやわらげる居心地のよい空間をつくります。
〇カラー
内装デザインに用いるカラーは、寿司屋の空間全体の印象を決定づける要素となります。白や黒、グレーなどのモノトーンカラーを基調にすると、都会的で洗練された高級感が生まれます。また、木材などの自然素材の色をいかしてブラウンやベージュをベースにするなら、温かみのある上品な空間になるでしょう。このようなベースカラーに加えて、内装全体の5%ほどに、赤や金といったアクセントカラーを配色すると、空間に華やかさをプラスできます。例として、壁やカウンターを明るい白やベージュに統一しつつ、天井と床、椅子を黒で引き締めると、自然と職人の手元に視線が集まるような内装デザインになります。また、ベースは木材のベージュに統一して、壁一面を深いグリーンにするといった大胆なデザインも、店舗の個性を際立たたせる内装となります。
〇和テイスト
日本の伝統料理ともいえる寿司の格式や伝統を表現するために、和風のテイストを加えることも欠かせません。職人の技術が光る建具や伝統的な文様をあしらった装飾などを配置するなら、寿司屋の内装デザインに日本文化の美しさを加えられます。たとえば、カウンター席や個室との境など、空間の仕切りとして格子を取り入れると、プライバシーを守りながら和のテイストで特別感を演出できます。また、厨房やトイレの配置によって空間の統一感を崩さないために、入り口に暖簾を掛けるという方法も、非日常的な雰囲気を守るために効果的な方法です。このような装飾は、ただ和テイストであればよいというわけではありません。本物の和の装飾を内装に取り入れることによって、寿司屋の格や職人のこだわりを伝えることができます。
〇照明
素材やカラー、装飾といった要素すべてを特別な空間にまとめあげるのが、照明による演出です。照明は、取り入れ方によって高級感や特別感など空間の雰囲気を大きく変える効果があります。とくに料理を照らす照明は、提供する食材がおいしく見えるよう計算されなければなりません。ネタがもっともおいしく新鮮に見えるのは、2700K〜3000K程度の色温度といわれています。カウンターの内側は、スポットライトで食材や職人の手元を照らし、カウンター席はやや暗めに設定すると、プライベート感を高めて落ち着いた雰囲気を演出できます。また、壁や天井に光をあてて反射させる間接照明を取り入れると、空間にやわらかな陰影が生まれ、非日常的な特別感のある空間に仕上がります。
◎寿司屋の内装デザインにおける注意点

特別感のある空間に仕上げるだけでなく機能性を意識することも、寿司屋の内装デザインにおいて注意しておきたいポイントです。まず大切なのは、レイアウト設計における機能性です。エントランスからカウンターやトイレに行く際など、顧客がスムーズに動ける導線をつくる必要があります。それと同時に、スタッフの作業効率や動きやすい導線も考慮しなければなりません。また、寿司屋は生ものを扱うため、徹底した衛生管理が求められます。カウンターから厨房が見えるスタイルだからこそ、常に清潔な状態を保てるように、掃除がしやすい光沢のある素材や汚れが目立ちにくい素材などを選ぶ工夫も重要です。
さらに寿司屋は、上質な素材を使用したり必要な設備を備えるために、一般的な飲食店と比べて内装デザインにコストがかかる傾向にあります。すべてを高級にするのではなく、顧客の手にふれる部分に上質な素材を使用するなど、予算の範囲内でコストを配分しましょう。コストとこだわりのバランスを見極めることが、寿司屋の長期的な運営を支える大切なポイントとなります。
◎まとめ
寿司屋の内装デザインでは、価格帯にあわせた高級感や特別感の演出が大切です。特別な空間で食事をする体験は、顧客満足度を高めてまた来たいという気持ちを起こさせます。寿司屋を特徴づけるカウンターの素材にこだわったり、格子や和紙の照明など和テイストの装飾を用いて、格式高く高級感のある空間をつくりましょう。特別感を演出する寿司屋の内装デザインにご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。