コラム
オフィスの壁に求められるデザイン性と機能性を両立させるポイント
◎オフィスにおける壁のデザインによる効果

オフィスの内装において、壁はただ空間を仕切るためのものではなく、さまざまな役割を担っています。物理的な機能面での役割はもちろんですが、オフィスのなかで広い面積を占める要素となるため、視覚的にも大きな影響を与えます。壁のデザインは、オフィス全体の雰囲気やイメージを左右する重要な役割を果たしています。
壁のデザインによる効果のひとつが、企業のブランディングです。コンセプトを表したり企業の色を出すなら、自社のメッセージを伝えて他社との差別化を図れます。たとえば、落ち着いたカラーのクロスや重厚感のあるタイルなどを壁に使用すると、信頼感や安定感といったコンセプトを強調できるでしょう。壁のデザインは、従業員のモチベーションアップや生産性向上にも効果を発揮します。たとえば、木目調のパネルやレンガなどの自然素材をアクセントとした壁は、居心地がいいと感じる空間をつくりだします。オレンジやレッドなどの暖色系のカラーは活気のあるエネルギッシュな雰囲気をつくり、ブルーは集中力を高めるなど、壁の色によっても与えるイメージが異なります。執務室や休憩室など、スペースに合わせた壁の色にするなら、従業員の作業効率アップにもつながります。
一般的に工事で設置する造作壁において、仕上げに使用できる素材はさまざまです。クロスやタイル、塗装といったものから、光を取り入れられるガラスを使用することもできます。このような、壁に使用する素材や色、さまざまなデザインの組み合わせによって、オフィスの印象は大きく変わります。また、後付けできるパーテーションを使用して壁をつくることもできます。パーテーションには、天井まで届いて固定するハイパーテーションと移動させやすいローパーテーションがあります。パーテーションを使って壁をつくれば、既存の空間を仕切ったりフレキシブルにレイアウトを変更させることも可能です。
◎オフィスの壁に求められる新たな機能

オフィスの壁は、機能面でも多くの役割を果たしています。まず、執務スペースやミーティングルーム、休憩室など区画を分けるゾーニングに不可欠です。このゾーニングによってエリアが明確に分けられ、従業員の導線を整えたり作業のしやすさを確保しています。壁で空間を分けることは、防音性という機能面でも重要です。ミーティングや来客者との打ち合わせなどの際に音を遮断し、機密情報を保護するとともに、ほかの従業員が作業に集中できる環境を保ちます。壁で仕切ることは、オフィスの冷暖房効率を高めて快適な空間を保つうえでも欠かせません。結果としてエネルギーコストの削減にもつながるなど、多方面にわたって機能性における重要な役割を果たしています。
このような従来必要とされている機能に加えて、時代の変化や働き方の多様化などにともない、オフィスでは多くの新たな機能が必要とされるようになっています。そのひとつが、オンラインミーティングのための設備です。個人が各々パソコンを使用するミーティングから複数人で行うオンラインミーティングまで、ウェブ会議は日常業務に欠かせないものとなりました。そのため多くの企業において、会議室の壁に大きなモニターを設置することが必須となっています。モニターは、資料を映し出したり遠隔地の参加者を含めた複数人でミーティングするために欠かせません。
モニターにも種類があり、主流となっているのは液晶ディスプレイです。液晶ディスプレイは、比較的安価でコストパフォーマンスにすぐれていますが、バックライトで光るためやや厚みがあります。より高画質な有機ELモニターは、バックライトが必要ないため薄く、壁のデザインに合わせて設置しやすいモニターです。また、会議室の壁に設置するモニターだけでなく、一人用のミーティングスペースやブースもオフィスにおいて新たに必要とされています。これは、オフィスの壁に設置できる個室で、複数人が作業するオープンなオフィスで声を出せない場合などに用いることができます。クローズ型のミーティングブースであれば、遮音性や吸音性があり音が漏れないように設計されています。ほかの従業員の作業をさまたげることなく、機密性の高いミーティングなどを行うことができます。
さらに情報伝達の効率化のために、オフィスの壁にデジタルサイネージを設置する企業も増えています。デジタルサイネージとは、ディスプレイなど電子的な媒体を用いて情報を表示するシステムです。掲示板の代わりとして壁に設置し、従業員に対するリアルタイムの情報共有や来客者へのブランディング、フロアのサインなどに活用されています。
◎壁のデザイン性と機能性を両立させるポイント

オフィスの壁には、高いデザイン性による効果だけでなく、必要とされている機能も多くあります。壁のデザイン性と機能性を両立させるためには、ツールの選び方や設置方法などのポイントに注意しなければなりません。
〇壁に設置する
モニターやデジタルサイネージなどのツールを壁に設置する際は、オフィス全体の意匠性を損なわないような工夫が求められます。デザイン性を保つために、ただ壁に掛けるのではなく、壁に埋め込むような設置方法も主流となっています。そのような設置方法は、モニターの存在感をおさえて壁と一体化したデザインをつくりだします。とくに、電源コードやLANケーブルといった配線類を壁の内側に通すと、すっきりとした見た目にして雑然とした印象になるのを防げます。有機ELのような薄型のモニターであれば、主張しすぎない設置の仕方も容易になり、洗練された壁のデザインのひとつになります。
〇意匠性の高さ
モニターやケーブル類は、無機質な見た目のものが多く、大きさもあると壁のデザインになじませるのが難しいという課題がありました。このような課題に対応するために、おしゃれなデザインのツールや周辺機器が多く出ています。たとえばミーティングブースは、機能性だけでなくカラーやファブリックの素材などにこだわった、意匠性の高い製品も増えています。モニターを設置するためのディスプレイスタンドも、おしゃれなデザインが選ばれるようになっています。ミニマルなデザインのスタンドを選べば、置くだけで空間になじみやすくオフィス全体との統一感を保てます。
〇耐久性や安全性
機能性を保つために欠かせないのが、耐久性や安全性です。壁にモニターやデジタルサイネージを設置する場合、壁の材質や構造によって強度が異なります。壁に設置する前に、取り付けるツールと金具の総重量に耐えられる強度があるか、確認が必要です。とくにパーテーションに取り付ける場合は、パーテーション自体が薄いとモニターの重量によって落下してしまう危険性があります。このようなケースでは、内側に鉄板を追加などの補強工事を行うことが求められます。コンクリートや石膏ボード、木材など壁材に合わせて、安全な施工方法を選びましょう。
〇消防法や建築基準法
オフィスに機能を追加する際に注意しておきたいのが、建築基準法や消防法への対応です。たとえば、オフィスの壁に設置するミーティングブースの場合、壁や天井が覆われているクローズ型のブースは建築基準法上の居室と見なされます。居室と見なされた空間は、消防法の対象となるたるため、消防設備やスピーカーの設置が義務付けられることが一般的です。しかし、ブースの大きさや使用材料によっては、消防法の規制が免除されるケースもあります。オフィスに新たな機能を導入する際は、消防法や建築基準法に関わるものが確認し、デザイン性と機能性を追求して法令を無視してしまうことのないよう、注意しましょう。
◎オフィスの壁の機能性とデザイン性を両立させた当社の施工事例
オフィスに新しい機能を追加する際は、ツールの機能性の高さや使いやすさのみを重視するのではなく、デザイン面での効果も考慮しましょう。見せ方を工夫してデザイン性を高めるなら、自社ブランディングにつながります。
〇西新宿セットアップオフィス

西新宿にあるセットアップオフィスにて、内装工事に参画した事例です。会議室の壁の一面にアクセントクロスを用いて個性を持たせ、モニターを使用していないときは壁全体のアートワークを見られるデザインになっています。ふたつ会議室には、ブルー系とピンク系のカラーに合わせて、それぞれ別のアクセントクロスを使用しました。個人用のミーティングブースは、ドアと奥側がガラス面になっており、上下別のカラーで貼り分けたタイルの壁に設置することで、壁のデザインが透けて見えるよう配置しています。このような配置によって、大きさのあるミーティングブースに抜け感が出るように仕上げました。
◎まとめ
必要な機能を隠すのではなく、どう見せていくかというデザイン性は、さまざまな機能を取り入れる必要があるオフィスの壁において欠かせないものとなっています。意匠性の高いツールを使用したり設置方法を工夫するなら、オフィス全体のデザインの一部として活用できます。機能性とデザイン性を両立させたオフィスの壁のデザインにご興味のある方は、お気軽にご相談ください。