コラム
映えだけではない!継続的な運営を見据えた店舗デザインのポイント
◎映えだけでない店舗デザインとは

InstagramやTikTokといったSNSの流行により、飲食店やアパレル、雑貨などのジャンルを問わず、映える内装を広告戦略として取り入れた店舗デザインが増えています。ショップのコンセプトを誇張したり写真スポットを設けるなど、映えを意識したさまざまな工夫が見られます。しかし、映える見た目のよさだけで顧客を惹きつけようとすると、一時的な集客はできても継続的な顧客獲得にはつながらないケースも少なくありません。やはり重要なのは、映えの部分だけで選ばれるのではなく、顧客が継続的に商品の購入やサービスの利用をしたいと思えるような店舗づくりです。店舗デザインは、取り扱っている商品やサービスの価値を伝え、顧客体験を高めるための重要な要素となっている必要があります。
たとえば、あるアパレルショップでは一押しの商品の各サイズと各カラーをグラデーションで陳列しています。これは、見た目に鮮やかな印象を与えるとともに、好きな色やサイズを見つけやすいという利便性を両立させています。またほかの成功事例として、おすすめのコーディネートを施したマネキンを中心に、その商品と着回し可能なアイテムをセットで陳列する方法があります。このようにして、特定のアイテムだけでなくそれに合わせる商品の購入をうながし、客単価のアップにつなげています。
飲食店においても、同じことがいえます。一般的に、スタッフが見えて活気ある声が聞こえるオープンキッチンの店舗は、安心感や期待感を与えるため売上にもよい影響を与えるといわれています。反対に、キッチンが見えない店舗は、活気や臨場感が伝わりにくく売上低下の原因になることもあるようです。このように店舗デザインは、単なる映えだけでなく、店舗そのものの価値をいかに伝えるかがもっとも重要なポイントとなります。顧客がまた来たいと思えるような購買体験ができる店舗デザインは、店舗の継続的な成功につながります。
◎店舗デザインがもたらす効果

店舗の集客において、飲食店であれば料理のおいしさ、アパレルや雑貨店であれば取り扱っている商品のよさが、顧客を惹きつけるもっとも重要な要素となるでしょう。しかし、料理やサービス、商品がどれほどよいものであっても、来店してもらわなければその価値は伝わりません。また、どのような空間で食事や買い物をできるかという点も、顧客満足度を左右して店舗全体の価値を高める要素となります。店舗デザインは、そのような集客率や顧客満足度を向上させ、選ばれる店舗になるための重要な役割を果たしています。
まず店舗デザインは、他店との差別化を生み出し、集客力を向上させます。外装や外から見える内装のデザインによって、顧客の興味を引きつけたり入りやすい雰囲気をつくるなら、この店に入ってみたいと思わせるきっかけとなるでしょう。競争が激しい業態であっても、店舗デザインによってアピール力を高めることにより、他店との差別化を図ることが可能です。店舗デザインは、リアルな空間がもつ広告としての効果を発揮します。
また店舗デザインによって、店舗のコンセプトやブランドイメージを伝えることができます。内装や照明、レイアウトなどによってつくりだす空間の世界観は、価格帯や扱う商品のテイスト、大切にしている価値観などを表現します。このようなイメージの共有は、店舗が狙っているターゲット層へのアピールにつながります。また、扱っている商品と店舗デザインのイメージが一致していると、空間を居心地のよいものにし、顧客に安心感や信頼感を与えます。そして、商品を購入したり食事をするだけではなく、その空間で過ごす時間そのものに価値を見出すことができ、体験自体の満足度が高まります。そのような購買体験は、またこの店舗に来たいという気持ちを強め、リピーターの増加や長期的な売上にも効果を発揮します。
◎継続的な運営を見据えた店舗デザインのポイント

店舗デザインは、継続的な集客につなげてビジネスの成功を支えるための重要な要素となります。そのためには、店舗のコンセプトや取り扱っている商品のブランドイメージを表現した空間づくりだけでなく、機能面でのアプローチもポイントとなります。
〇コンセプトを明確にする
まず重要なポイントとなるのが、店舗のコンセプトを明確に定めることです。コンセプトとは、「どのような店舗にしたいか」「顧客になにを提供したいか」といった、店舗の方向性や魅力をあらわすものとなります。コンセプトがはっきりしていると、イメージを共有しやすくなるためデザインに統一感が出やすくなり、イメージと完成形の相違も最小限におさえることができます。反対にコンセプトが明確ではないと、方向性がぶれて内装にまとまりがなくなり、集客数やリピート率などにも影響が出る可能性があります。コンセプトを決定する際は、扱う商品のテイストや価格帯、ターゲット層、利用シーンなどの詳細な点を考慮し、店舗の独自性まで掘り下げて言語化しましょう。
〇コンセプトに合わせたテイストを決定する
コンセプトを決めたあとは、それに沿ったテイストの決定がポイントとなります。テイストを決定すると、天井、床、壁などに使用する素材やクロス、店舗デザインの配色など、テイストを表現するための要素となるものを選びやすくなります。たとえば、居心地がよいカジュアルな雰囲気がコンセプトであれば、ナチュラルテイストの店舗デザインとして、床や壁を木材で仕上げたり、温かみのあるカラーを使用できます。また、高級感のある洗練された空間をコンセプトとするなら、スタイリッシュなテイストとしてガラスや金属などを使用したり、白や黒などのモノトーンで配色します。このほかにも、店舗デザインのテイストには、シンプルやミニマル、リゾート、モダン、インダストリアル、レトロなど、さまざまなものがあります。
〇機能性を高める
店舗の空間づくりでは、デザイン性の高さだけでなく、機能性の高さも重視すべきポイントとなります。スタッフの動作や顧客の流れがスムーズになる動線を考慮して、レイアウトを決めることが重要です。たとえば飲食店であれば、席に案内して注文を取り、料理を提供して会計をするまでの、一連の動作が最小限の動きで済すむようなレイアウトを設計できます。またアパレルショップであれば、商品を選んで試着したり、レジへ行くまでの流れがスムーズになる導線設計ができると、ストレスのない購買体験となります。デザインにばかりにこだわってレイアウトが機能的ではないと、スタッフにとって使い勝手が悪い空間となり、サービスの質も低下してしまいます。デザイン性と機能性を両立させた店舗デザインが大切です。
〇インテリアや照明などの選定
テイストや機能性をふまえたインテリアや照明などの選定も、店舗デザインにおける大切なポイントです。テイストに合わせて、テーブルやチェアなどの什器、カトラリーや小物類などを選ぶと、空間全体が統一感のあるものとなります。また、インテリアの配色を3色程度に絞ると、テイストを表現したり統一感を出しやすくなります。照明は、明るさや色合いによって、空間の印象を大きく変化させます。落ち着いた雰囲気の飲食店では暖色系、高級感のあるアパレル店であれば、商品がよく見えるように白色系にするなど、テイストや目的に合わせて選定します。ダウンライトやペンダントライトなどを組み合わせると、空間に奥行きをもたせることも可能です。
◎映えだけではない店舗デザインを行った当社の施工事例
長期的な店舗運営を見据えるためには、映えを意識するだけでなく、また来たいと思えるような購買体験ができる空間づくりが必要です。導線を意識した機能性の高さやコンセプトが伝わる店舗デザインは、継続的な集客に効果を発揮します。
〇神奈川県横浜市 店舗テナント

横浜市にある、音楽・スポーツ・グリーンをテーマにした複合施設「LATTEST GREEN」にて、意匠デザインおよび内装工事に参画しました。店舗区画のコーナー部分に、L字型の子ども用プレイエリアを設け、その両端に子ども向けと大人向けの店舗エリアを配置しています。そのようなレイアウトにより、商品を選ぶときも遊んでいる子どもが見える位置にいるという、安全面での機能性が高い空間となっています。さらに店舗の外側からも、商品を選ぶ人の背景に子どもの遊ぶ姿が見えるという、ストーリ性も両立させたレイアウトです。プレイエリアは、ホワイトサンドを使用した砂場になっており、一面の窓ガラスから太陽の光が差し込みます。各ゾーンをゆるやかに間仕切りするインテリアとして背の低い細長い什器を採用し、ベンチや下駄箱、収納としても機能するよう設計されています。
◎まとめ
店舗における空間づくりでは、見た目のよさで顧客を惹きつけるだけでなく、ブランドイメージやコンセプトを表現し、店舗全体の価値を高めるデザインにする必要があります。ターゲット層や価格帯、取り扱っている商品に合ったテイストを決定し、それに合わせた什器や照明を選定するなら、新規顧客やリピーターの増加につながります。映えだけでない継続的な運営につながる店舗デザインにご興味がある方は、当社までお気軽にお問い合わせください。