コラム
特定建設業許可をもつ業者にビルリノベーションを依頼する理由
◎特定建設業と一般建設業ができるビルリノベーション工事の違い

ビルリノベーションをはじめ建設工事を請け負うときは、軽微な建設工事を除き、建設業許可の取得がビルリノベーション業者に求められます。軽微な建設工事とは、建築一式工事の金額が1,500万円未満(建築一式工事以外は500万円未満)をはじめ、条件が設定されています。建設業許可には一般建設業と特定建設業の2つの種類があり、ビルリノベーション工事の条件によっては、特定建設業許可が必要です。
工事代が膨らむ大がかりなビルリノベーションでは、特定建設業の取得が欠かせないケースがあります。発注者から工事を受注したとき、下請けに依頼する工事代金が法令で定められた、4,500万円(建築一式工事なら7,000万円)以上になる場合は、特定建設業の許可が必要です。定められている金額は、ひとつの下請け業者に発注できる上限ではなく、ビルリノベーション工事に関する下請け工事の総額で計算されます。たとえば、下請け業者が3社あり、A社に1,500万、B社に2,500万の工事を依頼するとします。さらにC社の金額が500万であっても、下請けにだした合計の金額が4,500万円以上となる場合は、特定建設業の許可を得ていなければなりません。各社に依頼した工事金額が、それぞれ上限に達していなくても、合計金額が上限以上の契約になるのであれば、特定建設業許可を有した業者が必要です。
複数の下請け業者と協力して取り組む規模のビルリノベーション工事でも、特定建設業の許可を保有していると、法令に反することなくビルリノベーション工事を行えます。特定建設業の許可を得ていれば、工事代金にとらわれず、大規模な工事を遂行できるともいえるでしょう。一般建設業でも、ビルリノベーション工事に携われますが、ビルリノベーション工事の規模の大小に関わらず、工事の大半を自社施工で対応しないといけません。また、下請け業者に工事の一部を発注する際は、法令で定められた金額未満に調整する対応が求められます。
◎特定建設業許可のある業者にビルリノベーションを依頼する理由

特定建設業を取得している業者にビルリノベーション工事を依頼する理由は複数あります。ビルリノベーションを依頼する業者が特定建設業許可を取得していると、工事規模を気にせず発注でき、特定建設業許可の保有が信頼と安心の証の指標となります。
〇規模の大きいビルリノベーション工事を発注できる
特定建設業許可をもっている業者には、依頼したいビルリノベーションが大規模な計画であっても、法令にのっとった工事対応を依頼できます。下請け業者に発注する工事の総額が、国土交通省が設定した上限金額以上となる場合は、一般建設業では対応が許されないため、特定建設業の許可のある業者の存在が必須です。ビルリノベーションに多数の下請け業者が関わる規模の工事では、下請けに依頼できる合計金額の上限が4,500万円未満(建築一式工事なら7,000万円)と法令で定められています。ビルリノベーションを妨げる法令違反は、スムーズな建物運用ができない可能性を含むため、前もって回避していなければなりません。下請け業者にだす工事の総額の調整が不要な、特定建設業を有した業者を選択すると、トラブルなく規模の大きいビルリノベーション工事を発注できます。
〇信用できる業者として安心して工事を依頼できる
ビルリノベーションの発注先を選定する際、特定建設業許可を受けている業者を選定条件のひとつに入れると、より信頼性が高い業者に工事を発注できます。ビルリノベーション業者が特定建設業を取得するには、会社の財産状況や特定の実務経験がある技術者の専任など厳しい要件が課され、クリアしないと許可を受けられません。特定建設業の要件は、一般建設業よりもシビアに設定されているため、特定建設業の取得は、ビルリノベーション業者の実績と信頼の証とも言い換えられます。たとえば、専任技術者の配置は、一般建設業でも特定建設業と同じく必要ですが、求められる資格の等級が異なります。一般建設業では、専任技術者に2級の資格をもった人物を指定できますが、特定建設業では、1級を保有した人物しか専任技術者になれません。ビルリノベーションをするときは、特定建設業をもっている業者を選択すると、より安心して工事を依頼できるでしょう。
〇高品質なビルリノベーション工事を任せられる
ビルリノベーションを特定建設業許可のある業者に依頼する理由として、高品質なビルリノベーション工事を任せられるという点もあげられます。定められたレベルの技術力と実務経験をもつ人物の配置や誠実な契約履行など、厳しい要件のすべてに合格してはじめて、特定建設業を取得できます。特定建設業をもった業者は建設工事のプロであり、高い品質のビルリノベーション工事の提供が可能です。ビルリノベーション工事の最中にトラブルが発生しても、特定建設業を取得した業者には、速やかに問題を解決し品質を維持した工事を遂行する能力と経験が蓄積されています。建設工事の経験に乏しかったり知識がない業者とは異なり、特定建設業を保有している業者には、品質の高いビルリノベーションを任せられます。
◎特定建設業の許可をもつ業者がクリアしている要件

複数の下請け業者との協力が必要なビルリノベーション工事に携わる際、任せる工事の総額が定められた上限以上となる場合、特定建設業の取得が必要です。建設業許可自体にも5つの要件が掲げられていますが、プロジェクトを統括したり高度な技術が求められる立場の特定建設業の許可には、さらにシビアな要件が設定されています。特定建設業許可を取得する要件には、特定の資格や実務経験がある人物に関する項目が2つあります。ひとつは、経営の管理と責任を担う人物の配置です。建設業のマネジメントは、ほかの業界の経営業務と比較すると色合いが大きく異なるため、経営の管理責任者が求められます。
特定建設業の管理責任者となるには、建設業で経営の管理責任者として5年以上の実務経験があるなど3つ要件があり、そのうちいずれかに該当しなければいけません。人物に関する項目の2つめは、定められた経験と資格をもつ専任技術者の設置です。特定建設業を取得するには、一般建設業で必要な専任技術者の実務経験のほか、元請業者として4,500万円以上の案件で2年以上、指導と監督するポジションの経験が課されます。また、一般建設業では要件のクリア条件として認められていた2級の資格保持者の配置が厳しくなり、1級の資格保持者に変更されます。一定以上のプロジェクトを一定期間マネジメントした経験と資格を有した人物のみが、専任技術者として認められます。
管理責任者や技術者に関する2項目のほかに、会社自体に求められる要件が3つあります。大がかりなビルリノベーション工事にも携われる特定建設業をもつ業者には、会社として違反行為をしない姿勢と実績、健全な財政状況などが求められます。特定建設業許可を得るために会社に必要な要件のひとつめは、会社の誠実性です。信頼性を失墜させるような、脅迫や詐欺行為のような法律違反や、契約で定められた決まり事を破る行為があると、特定建設業の許可は受けられません。また、特定建設業の申請をする直前の決算の数値を使い、十分な資金を会社が保有しているか証明が必要です。少なくとも4,500万円以上の工事を下請けに依頼するプロジェクトを管理するため、資金に不安があると下請け業者や発注者に支障をきたす可能性があります。
暴力団との関係、資格や職業に制限が課されている破産者など欠格要件に該当していない状態も、特定建設業の条件に掲げられています。滞りのない意思疎通をもって適正に工事を管理できない状態では、特定建設業の取得は極めて困難です。事業規模や形態に応じて、社会保険への加入義務も発生するので、適切な対応が求められます。
◎特定建設業許可を取得している当社のビルリノベーションの施工事例
下請け業者に工事を依頼する金額が、法令で定められた上限を超えるような大規模ビルリノベーション工事を請け負うときは、特定建設業の許可が必要です。特定建設業を取得している業者に依頼すると、大がかりな工事でも過去の実績をいかした高品質な施工を安心して任せられます。
〇東京港区東麻布ビル
港区東麻布にある地下1階、地上5階の建物全体のビルリノベーション工事に参画しました。外構工事や内装、設備工事をはじめ、多数の業者と協力する大規模工事となったため、特定建設業許可を得ている業者の存在が欠かせませんでした。当社は、特定建設業取得済みの業者として、ビル全体のリノベーション工事がトラブルなく完了するよう統括しています。また、高い品質を提供できるよう、今まで携わったビルリノベーション実績と知識をフル活用して、施工を実施しました。複数の業者が関わる大がかりな工事となりましたが、すべての工程は計画通りに進み、安心かつ快適にビルを利用できる環境を作り上げています。
◎まとめ
ビルリノベーション工事で下請け業者に依頼する工事の金額によっては、特定建設業をもっている業者が欠かせません。大規模な工事を行う際、発注者や下請け業者に迷惑をかけないよう、工事を管理できる特定建設業を得た業者が必要です。取得するには、実務実績や資格を高度な技術力など、厳しい要件が課されています。特定建設業許可を取得している業者が手がけるビルリノベーションにご興味のある方は、お気軽に当社までご相談ください。
