REM

東京・神奈川・埼玉・千葉などの首都圏で、事務所・オフィス・店舗・住宅の内装工事、移転、引っ越し、デザイン設計、レイアウト作成、中古ビルの不動産再生・リノベーション等、内装屋・外装・改修工事業者、トータルプロデュース会社をお探しなら是非お問い合わせ下さい。

03-5315-0142

コラム

Column

リノベーションにおける消防設備計画の重要性

昨今、築20、30年以上の築古マンションを活用したリノベーションが増えています。住環境の整備に関わって、リノベーションも新築物件と同様にさまざまな法律や条例、規則等で基準が定められています。リノベーションの消防設備において、とくに考慮すべきことは建築基準法と消防法等の法令遵守です。実際にリノベーションを行う場合には、事前に消防設備について把握し計画的に進めることが大切です。この記事では、リノベーションにおいての消防設備、及び消防設備における計画の重要性をご紹介します。
◎リノベーションの消防設備における計画の重要性

建物には、消防法施行令によって消防設備の設置、概要などについての計画、仕様などの申請する必要があると定められています。リノベーションの消防設備においても、建築基準法と消防法などのルールに基づき、工事の着工前に防火対象物使用開始届などの確認申請がマストです。消防法施行令は一部の改正が常に行われており、地域の管轄消防によっても判断基準が異なる場合もあります。基準は非常に細かく、気づかないうちに消防法違反となっていることにならないように、消防設備の設置に関する設計を考える場合、必要な設備の設置・申請を、官庁に事前相談などの連携を伴い計画的に行うことが重要です。
 
リノベーション工事の場合、消防設備の設置についての基本的な流れは、事前相談、申請、施工、消防署の立ち入り検査、検査済発行といった流れになります。リノベーションによる消防庁の事前相談はすり合わせ作業であり、工事計画に対して見解の相違が起こらないように、あらかじめ法令に当てはまるかどうかの打ち合わせを行います。リノベーションによる消防設備等の設計したものが規定違反となった場合に、取り壊しや設備設計の見直しとなると、さらに労力と時間、当然費用もかかるため、事前相談や申請確認は重要なプロセスといえます。多くの人が集まる施設では概ね消防設備の設置が求められ、法的に必要な処置を講じるために、防火対象物の制度が定められています。防火対象物はさらに特定防火対象物、非特定防火対象物に分類されます。特定防火対象物は病院やホテル、ショッピングセンター、飲食店、劇場などの人の出入りが特定されない場所で、延べ面積によって消防設備等の条件が厳しく規定されています。
 
集合住宅やオフィス、工場などの人の出入りが特定される場所は非特定防火対象物とされ、特定防火対象物に比べると消防設備の規制は緩やかになっています。東京の場合は、リノベーションにおいて事前に消防設備等の審査をするために、「防火対象物工事計画届」という届出書を提出しなければなりません。「防火対象物工事計画届」に必要な書類は、防火対象物工事等計画届出書、リノベーション建物の防火対象物の概要表、案内図、平面図、断面図、立面図、詳細図、展開図、室内仕上げ表および建具表です。火気使用設備等又は火気使用器具等を設置する場合は、その位置や構造等の状況を示した図も必要となり、届出先はその建物を管轄する地域の消防署で、リノベーション工事着手7日前までに行います。
 
「防火対象物工事計画届」に問題がある場合は、管轄する消防署から連絡があり、防火対象物に関する計画の変更をすることになります。施工後にリノベーションによる既存の建物を使用する場合、使用開始の7日前までに「防火対象物使用開始届」の届け出が義務付けられています。「防火対象物使用開始届」とはリノベーション建物を誰がどのような用途で使用しているか、消防法で定められている消防設備等の設置などが、防火上支障がないかを確認するための届け出です。「防火対象物工事計画届」は東京都などで実施している制度ですが、自治体や地域によっては防火対象物使用開始届のみ提出という場合もあります。地域により事前の届出書の名称が違うケースもあるので、リノベーションの建物を管轄する消防署で確認しましょう。リノベーションの消防設備の申請において期限切れや手続き漏れがないように、まずその建物のリノベーション計画が決まったら消防設備の相談や、申請確認などを行うことが肝要です。
◎リノベーションにおける消防設備とは

消防法施行令においての消防設備とは、大きく分けて「消火設備」「警報設備」「避難設備」に区分されています。建物のリノベーションにおいても、どのような消防設備が必要なのかは、それぞれ建物の面積や収容人数などで消防設備が異なります。「消火設備」とは消防するための設備で、一般的な消火器はもちろんですが、バケツや水槽、乾燥砂も消火設備になります。リノベーション建物の規模や環境により、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備の設置や、大規模の建物では加えて動力消防ポンプの設備が求められる施設もあります。消火器は、住宅用と業務用に大別され、通行又は避難に支障がなく、非常時にすぐに持ち出しができる場所に設置します。
 
スプリンクラー設備とは、防火対象物の天井又は屋根下部分に配置したスプリンクラーヘッドから水による初期消火を目的として、火災感知から消火までのすべてを自動で行う消火設備のことです。「警報設備」は火災を知らせて避難を促す器具や設備で、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防へ通報する火災報知設備、非常警報設備などがそれにあたります。リノベーションにおいての建物の設置する場所や器具などは、技術上の規格から消防庁で定められています。室内の天井等に設置する自動火災報知設備の感知器の種類には、煙や熱、炎を感知するタイプがあり、自動的に感知し受信機に情報を送り知らせます。
 
「避難設備」は避難を誘導又は非難するために設けられた器具や設備で、誘導灯、非常灯、非常放送などがあります。誘導灯の使用目的は、非常口(避難口)や避難経路を照らすためのもので、非常灯は部屋や避難経路を照らすための器具です。非常放送は、火災発生時に建物内の人々に火災発生の警報と避難誘導を行う設備になります。避難器具は種類によっては設置することが認められていない階や用途が異なるため、リノベーションにおいても規格にそった避難器具を設置することが重要です。
◎築古不動産における大規模リノベーションの既存設備の見直しと法適合

新築マンションの価格高騰に伴って、築古リノベーション物件に興味を持つ不動産業者の大規模リノベーションが増えています。大規模リノベーションとは、住まい全体を骨組みだけの状態まで解体して行われるリノベーションのことをいいます。
 
大規模リノベーションは中古住宅に内装、設備、間仕切り壁等をすべて取り払い建物の骨組みの状態(スケルトン)からリノベーションを行うことで、一般的にはフルリノベーションとも呼ばれています。大規模リノベーションでは、建物を1度骨組みの状態に戻す工事があるため、間取りの変更ができることがメリットです。配線や給水も新しくすることで水回りの変更や、設備や素材にも好みのものを選べる自由度の高さが大きな魅力ともいえます。新築物件購入より、中古物件を購入しフルリノベーションを行う方が、費用を抑えられる場合が多く、新築にこだわって物件を探すよりも、中古物件の方が理想に近いリノベーションを実現できる可能性が広がります。
 
築古不動産の大規模リノベーションの発生において、消防設備等の既存設備の見直しが必要になり、間取りや水回りの変更に伴い、それに適した消防設備等の変更が求められます。一方で一部既存の部分を残す場合は、活用する部分と修繕・交換などを行う部分を明確化することが大切です。既存建物の用途変更の場合は、避難経路の確保や防火・消防設備をあらたに設けることや、用途地域や建物規模に応じては、準耐火建築や耐火建築物にすることが求められる場合もあります。リノベーションやコンバージョンの際は消防設備等のチェックが不可欠です。まずは、リノベーションの場合、建築当時の建築基準関係規定への適合状況を確認します。検査済証があれば問題ありませんが、検査済証がない既存建物は法適合状況を判断するのは非常に難しく、確認申請の手続きも困難を極めます。リノベーションにおいて検査済証がない既存建物は(建築基準法適合状況調査)ガイドライン調査を行うことができます。
 
建築基準法適合状況調査とは国土交通省「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」に基づき、調査を行い法適合状況等について報告書を交付する業務のことです。既存建物のガイドライン調査の報告書は、確認申請に向けた手続きのひとつで、リノベーション建物が検査済み証と見なされるわけではないのですが、「法適合」「既存不適格」の確認することができれば、確認申請の手続きに進むことが可能です。「既存不適格」の場合も確認申請の手続きを行う際の、既存不適格調書の添付資料として活用できます。大規模リノベーションの建物には検証済がなければ、着工が難しいため消防法施行令の確認、申請、手続きを行うことが必須です。
◎築古不動産のリノベーションによる消防設備に遵守した当社の事例
築古不動産のマンションやオフィスのリノベーションにおいて、ガイドライン調査を実施し、内装工事、消防設備等の設備工事などの必要な是正工事を行った事例をご紹介します。
 
〇横浜市マンション

横浜市青葉区あざみ野の築古マンションのフルリノベーションを行った事例です。不動産オーナー会社様、意匠設計会社様と当社でリノベーションを行う、築古不動産の資産価値向上を図った共同プロジェクトに参加いたしました。3社で現地調査と入念な打ち合わせを重ね、修繕に必要な設備の計画に加えて、効果的な施工方法の提案に協力いたしました。
 
 
〇南青山オフィスビル

港区南青山の築古ビルのリノベーション、並びに住居部分のコンバージョンを行った事例です。B1階3階建の築古ビルにおいて遵法性調査結果に伴う躯体補強工事を行いました。3階建ての住居部分をオフィスビルとしてコンバージョンするにあたり、ガイドライン調査及び調査結果において躯体補強工事、内装工事、外構工事の是正工事に協力いたしました。
 
◎まとめ
築古不動産のリノベーションにおいての消防設備の法令には建築基準法、都道府県の建築条例、消防法など多数あります。大規模なリノベーションは既存建物の間取りや水回りなどの変更により、消防設備等の確認申請が必須になります。リノベーション行う際は、工事を着手する前に官庁への事前相談を行い法令チェックすることで、法廷違反防止につながります。築古不動産のリノベーションや消防設備に関するご相談があれば、当社までお気軽にお問い合わせください。

リノベーションにおける消防設備計画の重要性