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コラム

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築古不動産のリノベーションに伴うアスベスト処理とは

築年数の古い築古不動産は、建築・建材としてアスベストが使用されている可能性があり、リノベーションや改修工事を行う際には注意が必要です。アスベストが含まれているかは、専門の検査機関に調査を依頼し、発見された場合はそのレベルに応じた撤去作業と専用処理施設での処理を行います。この記事では、築古不動産のリノベーションに伴うアスベストの危険性をはじめ、アスベストが含まれている可能性の高い場所、発見した際の注意点をご紹介します。
◎築古不動産リノベーションに潜むアスベストの危険性
築古不動産リノベーションに潜むアスベストの危険性石綿(アスベスト)は、天然の繊維状けい酸塩鉱物です。アスベストは安価で耐火性や断熱性、防音性に優れていることから、高度成長期を中心に不動産の建築・建材として多く使用されてきました。不動産建材以外の用途としては、断熱材、防音材、接合材などにも使用されました。アスベストは、繊維が非常に細かいため飛散しやすい性質を持っており、吸引し続けると肺線維症(じん肺)や肺がん、悪性中皮腫などの病気を引き起こす可能性があります。
 
このため政府では、不動産工事に携わる人の安全を確保するための法整備が進められてきました。現在では、不動産に関わらずアスベスト含有量が0.1%を超える製品の製造や使用は全面的に禁止されています。なお、アスベストに関する規則は、建築基準法のほか、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)、労働安全衛生法、大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)など、不動産に関連する各種法令によって細かく規制されています。
 
築古不動産やリノベーション工事を取り扱う業者にとって、アスベストは避けては通れない存在でしょう。2006年改正の建築基準法において、吹付けアスベストおよびアスベストの含有率が0.1%超の吹付けロックウールは規制対象となりました。2006年以前に建築された不動産においても、リノベーションや増改築の際には除去や封じ込め、囲い込みが義務付けられています。また2022年4月以降は、アスベストが不動産に含まれているかどうかに関わらず、事前に調査を行い結果を報告することが義務化されました。
 
築年数の経過した不動産のリノベーションでは、断熱材などにアスベストを使用しているケースがあります。各部屋や通路などの目視しやすい場所だけではなく、建物の外壁面や天井裏などといった見えにくい部分にもよく使われています。アスベストが使用されているかどうかは、不動産の施工業者や不動産販売の宅建業者が持っている建築時の施工図や材料表を確認することで把握できます。なかには、アスベストについての詳細が記載されていないケースや、建築後の改修・補修において追加使用されているケースもあります。そのため、書面だけでなく実際に現地へ赴いて確認する必要性があるのです。不動産にアスベストが含まれている可能性がある場合には、専門の検査機関へ調査を依頼したうえで、調査結果に基づいた適切な不動産改修やリノベーション工事の計画を立案・実行します。
◎アスベストの含有する可能性の高い場所
アスベストの含有する可能性の高い場所アスベストが含まれる可能性のある建材は、住居利用のマンション・アパートやオフィスビル、倉庫、公共施設などさまざまな不動産において使用されています。築古不動産のリノベーションを行う際には、アスベストが含まれる可能性の高い場所をとくに注意深く調査することが大切です。不動産においてアスベストが使用されている場所としては、水回りの耐水ボードや床Pタイル、天井材などのほか、鉄骨の耐火被覆材や機械室などで使用される吸音・断熱材などがあげられます。また、不動産の屋根裏側や内壁に多い吹付け材、鉄骨の柱、梁などの耐火被覆成形板、天井などの吸音・断熱材などにも含まれている可能性があります。さらには不動産の天井・壁・床の下地、外装材、屋根材等の成形板として、アスベストが使用されているかもしれません。
 
国土交通省の公表している「目で見るアスベスト建材」には、不動産のリノベーションなどを行う現場において、作業する人がアスベストの有無を識別できるためのさまざまな事例が写真付きで紹介されています。実際に現場で作業をする人でなければ判断や理解が難しい部分はあるものの、不動産においてアスベストの含有する位置を大まかに把握できるため、不動産改修やリノベーション工事の際に役立つ資料です。「目で見るアスベスト建材」によると、発じん性の度合いによって不動産の部位が「レベル1」から「レベル3」までに分類されています。たとえばレベル1には吹付け材、レベル2であれば耐火被覆材、断熱材、保温材など。レベル3であれば内装材や外装材、耐火間仕切りや床材、屋根材などが記載されています。
 
アスベストは、不動産以外の用途にも使われています。具体的には、トースターや電気コンロ、オーブンレンジ、冷蔵庫、洗濯機などの電気製品、ファンヒーターやボイラーなどのガス・石油製品があげられます。ほかにも、自動車のブレーキや金庫、釣り用リールなどがあります。電気製品の多くではパッキンとして使用されているケースが多くなっています。アスベストが含まれているかどうかは、製造メーカーや製造年などから判断するしかありませんが、不安な場合はメーカーへ直接問い合わせて確認すると良いでしょう。このように、不動産用の建材でなくとも、製造年が古いアイテムを使用している場合には注意が必要です。
 
◎不動産におけるアスベストの調査方法
不動産におけるアスベストの調査方法不動産リノベーションにおいてアスベストの調査を行うためには、適切な公的資格を保有している必要があります。築古不動産リノベーションのためにアスベスト調査を依頼する際には、必要な資格を有していること、料金などが明確に提示されていること、調査実績などをあらかじめ確認しましょう。
 
アスベストの事前調査では、不動産の施工業者や宅建業者が持っている図面などを確認したうえで、現地で目視による調査を行う流れになります。書面による調査によって2006年9月1日以後に建築されたと確認できた場合には、不動産にアスベストが含まれていないものと判断できます。目視による調査では、不動産の外観や屋上、内装や各部屋をチェックしたうえで書面と差異がないかを確認し、調査の詳細について記載した報告書を作成します。
 
アスベストの使用が書面で確認できる場合、あるいは書面では不明だった場合、現地調査によってアスベストを確認できた場合には、調査会社へ依頼するための検体を採取します。検体を採取する際には、アスベストの飛散・ばく露を防止するための呼吸用保護具、手袋、作業衣を着用します。さらに粉じんを飛散させないよう霧吹きなどを用いて湿潤させながら実施することが大切です。採取した検体は専門の検査機関へ分析を依頼し、結果の報告を受けます。もし不動産内にアスベストの含有が認められた場合には、レベルに応じた撤去作業と専用処理施設での処理が必要です。
◎築古不動産にアスベストが含まれていた場合の注意点
築古不動産にアスベストが含まれていた場合の注意点アスベストは、リノベーション工事などの施工業者の健康を害する恐れがあり、築古不動産を扱う場合には注意が必要です。リノベーションのための不動産を取得する際には、物件や取引の条件などが記載された重要事項説明書を確認しましょう。アスベスト含有の建材が発見された不動産の資産価値はその分減少しますが、不動産会社にはアスベストが含まれているかどうかの調査義務がないため、調査を行っていない場合があります。
 
不動産におけるアスベストは、図面や現地調査によって「ある」という事実は確認できても、確実に「ない」かどうかは調査してみなければ分かりません。不動産リノベーションを確実に行なうために、アスベストの調査は専門の調査会社へ依頼し、安全を確保したうえで進めることが大切です。
◎築古不動産リノベーションにおいてアスベスト調査を行った事例
当社は、オフィス改装や内装工事、築古不動産の一棟リノベーションやトータルプロデュースを得意としています。ここでは、これまでの施工事例において、リノベーションの際にアスベスト調査を行った事例をご紹介します。
〇九段下オフィス
築古不動産リノベーションにおいてアスベスト調査を行った事例 九段下オフィス千代田区九段にある6階建てのオフィスビルにおいて、設計事務所様と協働で1棟リノベーションを行った事例です。各フロアの間仕切りを一新し、共有の会議室やラウンジを新設して複数社の企業が入居できる形にリノベーションしました。エアコンなどの既存設備については老朽化状況を調査し、そのまま使用できる部分を可能な限り転用して予算の削減を実現しています。エントランスやラウンジが意匠性の高い洗練されたデザイン空間になるよう施工面で工夫し、クオリティの向上に努めました。
〇日本橋オフィス
築古不動産リノベーションにおいてアスベスト調査を行った事例 日本橋オフィス中央区富沢町にある7階建てオフィスビルの大規模リノベーションプロジェクトに参加した事例です。もともとはフロアごとに賃借されていたものを、各フロアごとに間仕切りの一新したシェアオフィスへとリノベーションし、当社では工事施工を担当しています。間仕切りの計画を大規模に変更することになるため、作業では内装をスケルトンまで1度解体した後、いくつもの中小スペースからなる、スケルトン天井のスタイリッシュな個室デザインになるよう作業を進めました。空調や換気設備、水回りなどの部分はそのまま残し、現状設備を適切に流用しながら不動産の資産価値向上を実現するリノベーションになっています。
◎まとめ
築古不動産においてリノベーションを行う際には、建築・建材としてアスベストが使用されていないかを専門の調査会社に依頼する必要があります。アスベストが使用された不動産は資産価値は低下しますが、適切に調査・処置を実施したうえでリノベーションを行うことで不動産の資産価値を再生できます。築古不動産のリノベーションやアスベスト調査に関して気になることがあれば、お気軽に当社までご相談ください。

築古不動産のリノベーションに伴うアスベスト処理とは